記憶の欠片 弟子

記憶の欠片 - 弟子

今日は城主からの依頼を受け、 城主の子どもに、 基礎的な魔法の概念をしばらくの間、教えていました。

教え終えたあと、 私は一人で、 街の塔の頂上から星空を眺めていました。

かつての私は、 弟子を取ったことがあります。

より正確に言えば、 一人の子どもを育てたことがありました。

私はその子を、 「研華族」の研究施設で見つけました。

そして、 非人道的な実験から彼を救い出したのです。

それから私たちは、 共に旅に出ました。

道中、 さまざまなことを教え、 魔法も授けました。

それは、 私が初めて 「親とは何か」 「師とは何か」 を知った経験でした。

あの子は、 私に多くのことを教えてくれました。

しかし、 度重なる誤解と、 「研華族」による幾度もの介入によって、

私の弟子は、 世界で最初の魔族となりました。

同時に、 初代魔王となったのです。

魔族となった彼の中で、 かつて心の奥底に隠されていた憎しみは、 大きく増幅されました。

復讐に支配された彼は、 世界への復讐を始めました。

そして最終的に、 私は彼と、 刃を交えることになりました。

私は今でも、 戦う前に交わした あの会話を、 かすかに覚えています。


彼は、 私の弟子であり、 私が育てた子どもでした。

私は彼と戦いたくなかった。 自らの手で、 彼の命を終わらせることなど、 望んでいなかった。

「今なら、まだ間に合う。 すべては、まだ取り戻せる」

そう言って、 私は彼を説得しようとしました。

▲▲▲:師匠……ごめんなさい。 もう、後戻りはできません。

▲▲▲:この両手は、すでに血に染まり、 復讐に支配された私は、 もう師匠の知っている あの子どもではありません。

▲▲▲:だから、離れてください。 せめて、 師匠と敵対したくはない。 あなたを傷つけたくないのです。

「それが、お前の選んだ道ならば――」

「弟子を正しい道へ戻すことこそ、 師として、 そして親としての、 私の責任だ」

「……たとえ、 最終的に私の手で、 お前の命を終わらせることになったとしても」

そのとき私は、 初めて 「心が痛む」という感情を知りました。

それは、 とても苦しいものでした。

▲▲▲:やはり、 師匠を引き止めることはできませんでしたね。

▲▲▲:あなたは…… 本当に、相変わらず優しい人だ。

彼は、 そう言って微笑みました。

そして、 その笑顔のあと、 彼の眼差しは、 はっきりと変わりました。

先ほどまで、 私と話していたときの目とは、 まったく違うものでした。

その瞬間、 彼がすでに覚悟を決めていることを、 私は理解しました。

そして私にできることは、 ただ一つ―― 彼を止めることだけでした。

こうして、 私たちは戦うことになりました。

私は、 良い師ではありませんでした。

そして、 良い親でもありませんでした。

力の足りない私は、 結局、 この子を救うことができなかったのです。

それ以来、 私は二度と弟子を取らず、

再び、 一人きりの旅を続けることになりました。