記憶の欠片 仲間

記憶の欠片 - 仲間

次の神殿へ向かう途中、 次の村からそう遠くない森の中で、 地面一帯に転がる魔物の死体を目にしました。

さらに奥へ進むと、 腹部を押さえ、 顔色を失って木にもたれかかっている一人の人物がいました。

その傍らには、 もう一人がしゃがみ込み、 治癒魔法を施して、 腹部から止まらずに流れ出る血を 何とか抑えようとしていました。

しかし、 治療はあまりうまくいっていないようで、 魔法をかけている者は、 明らかに焦りと不安を浮かべていました。

「傷があまりにも深い場合、 一般的な治療魔法では、 効果に限界がある」

私はそう言いながら彼らのそばへ歩み寄り、 荷袋の中から一包みの粉を取り出して差し出しました。

「これは一時的に止血できる薬粉だ。 まずはこれで血を止めて、 近くの治療院で きちんとした処置を受けるといい」

粉を傷口に振りかけると、 血はすぐに止まりました。

先ほどまで取り乱していた人物は、 はっきりと安堵の息を吐きました。

そして、 負傷した仲間を背負い、 急いで村へ戻り、 より詳しい治療を受ける準備を始めました。

私は彼らに付き添い、 村へ戻るまでの間、 護衛を務めることにしました。

その帰り道、 負傷した人物は、 仲間から厳しく責められていました。

「どうして一人で こんな魔物の討伐に行ったんだ」

「村を守る責任を、 お前一人で背負う必要なんてない」

「俺たちは仲間だろう? もっと俺を信じてくれ」

「戦闘能力はお前に及ばなくても、 傍で支援することくらいはできる」

「訓練を受けた他の連中だって、 協力できたはずだ!」

「どうして、 いつもそうなんだ」

「どうして周りを信じずに、 全部を一人で抱え込もうとするんだ」

――そんな叱責は、 私もかつて耳にしたことがありました。

それは、 遥か昔、 勇者の一行と共に旅をしていた頃の話です。


仲間たちが、 長きにわたる防衛戦を終え、 疲れ果てて眠りについていたときのこと。

私は、 先に退いたはずの魔族の軍勢が、 より多く、 より強力な軍団を率いて、 再び迫ってきていることを察知しました。

全身傷だらけで、 地に倒れ込むように眠る仲間たちを見て、 私は彼らを起こさず、 一人で敵を迎え撃つことを選びました。

遠くで迎え撃ち、 ここで食い止めるつもりだったのです。

しかし、 その軍勢は想像を遥かに超えていました。

数だけでなく、 将軍級の指揮官が二名も 含まれていたのです。

多方向からの猛攻に、 ついに対処しきれなくなったその瞬間――

彼らは、 私をかばうように攻撃を受け止め、 私の前に立ちました。

そのときの彼らの表情は、 とても険しく、 明らかな怒りを帯びていました。

◆◆◆: 「もう、何度目だと思っている」

◆◆◆: 「俺たちは、 お前の目にはそんなにも頼りなく見えるのか」

私は、 あまりにも多くのものを失ってきました。

だからこそ、 守れるものは、 できる限り守りたかったのです。

◆◆◆: 「全部を一人で背負う必要はない」

◆◆◆: 「過去はもう過去だ。 今の仲間を信じろ」

◆◆◆: 「どうして、 もう少し俺たちを頼ってくれないんだ?」

そのときの私は、 何も答えることができませんでした。

何を言えばいいのか、 分からなかったのです。


「仲間を、 もう少し頼っていい」

「仲間を、 もう少し信じていいんだ」

目の前にいる 二人の若者を見つめながら、 私は思わず、 かつて◆◆◆が私にかけてくれた言葉を 口にしていました。

「一人で、 すべてを背負い込まないでくれ」

「それは、 あまりにも辛すぎる」